
先週はお休みをいただいておりました。
さぶるーのお菓子を普段のおやつにしてくださっている皆様には、ご迷惑をおかけして申し訳ありません。
次の営業日は26(金)からですが、待ちきれない!と仰ってくださる皆様、水木のご都合がいい皆様は、
宜しければ、事前ご予約の上、明日明後日にいらしてくださいませ。
では早速、24(水)25(木)でお出しできるものをご案内します。
◆◆◆ショーケース◆◆◆
・ショコラアギュルム(チョコと柑橘のムース)
・ムース カフェラテ(コーヒーとミルクのムース)
・タルト フランスリーズ(チェリーのカスタードタルト)
・タルトアマンドレザン(有機レーズンとアーモンドのタルト)
・フロマージュ(ベイクドチーズケーキ)■
■…小麦不使用
◆◆◆焼き立てコーナー◆◆◆
お待たせしました!
機械パーツを新たにして、スコーンがまた製造できるようになりました。
24(水)25(木)は、同一の味を10個単位でご予約承ります。
有機全粒粉、有機紅茶、スペルト小麦、オレンジ、自然栽培甘夏。
発送でのご依頼の方へは、木曜日にお送りする手配です。
もう少しお待ちくださいませ。
◆◆◆焼き菓子棚◆◆◆
・フィナンシェ
・フィナンシェキャラメル
・フロランタン
・ミエルエピス(ハチミツのケーク)
・黒糖マドレーヌ※残少
・レモンケーキ
・カイザークーヘン
・ごまキヌアビスク(小麦乳製品不使用)
・レモンクッキー
・アマンドカフェ(コーヒーとアーモンドのラングドシャ)
・カシューナッツサブレ
・ムラングカシス(小麦乳製品不使用)
・ムラングカカオ(小麦乳製品不使用)
※ご予約頂いた分のみご用意しますため、営業日のように棚に並べている状態ではありません。
また、製造しながら対応いたしますので、少しお待たせする場合がございます。
※ご予約はメール(savoureuxnote@gmail.com)で、
◎予約メニュー、◎個数、◎お引取り日時、をお書き添えの上、お気軽にご依頼くださいませ。
生菓子の場合は、大体のお持ち歩き時間もお知らせ頂けると助かります。
さてさて、ここからは、東京スイーツ巡りのお話です。
先週土曜日に帰って来ていたのですが、未だに複雑な思いや、興奮や、頭の整理が出来ていなくて、ちょっと話がアチコチで、しかもかなりの長文。。。
お時間がある方、スイーツ好きの方、宜しかったらご覧ください。
今回、3日間で有名パティスリーを12軒回って、食べた生菓子は27個、焼き菓子は帰ってからも食べていてちょっと数え切れず、、、という糖質地獄のような弾丸ツアーでした。
12軒の内訳は、
外から見るだけで買わなかったお店が1軒、
怒りがフツフツ湧いたお店が2軒、
時間とお金を返して欲しくなったお店が3軒、
何を食べたか覚えてないお店が2軒、
コロンビアチョコを使っているからというだけで応援買いしたお店が1軒、
本店が美味しくてショッピングモール店にも行ったお店が1軒+1軒、
旨過ぎて3回も行ったお店が1軒。
なんとも偉そうな書き方ですみません。
結論から言うと、参考にしたいお店は1軒のみ、ということです。
そのお店でさえ、焼き菓子にはイチャモンを付けてしまい、焼き菓子に納得したお店は0軒でした。
(どんだけ上からやねん、というツッコミ、ありがとうございます・・・)
回ったのは全て有名店で、本を出したりメディアに露出するシェフのお店ばかりですが、こうもレベルが違うのかと衝撃でした。
私が洋菓子を勉強し始めた20数年前は、スイーツの本場はやはり東京。関西では話にならない。と言われていました。
東京のスイーツを食べ歩いたのは、15年程前が最後で、その時のイメージのまま、今も東京が本場だと思っていたのですが、今回訪れたパティスリーレベルなら、関西の方が随分美味しいと感じました。
思わず「東京、どうしちゃったんだ!?」と、何度も口にしましたよ。
この背景を考えると、アイドル化してビジネスマン化するパティシエ達が、メディアにどんどん露出して、スイーツが身近なものになった反面、ホンモノのスイーツは衰退している、というのが現状じゃないかと思います。
今の時代の流れと、大衆の考え方が作り出したものなのでしょうね。
納得したお店と、本店とモール店に行ったお店の2軒では、シェフにお会いして色々と話を聞くことができたのですが、その他のお店では、個人店を除き一切シェフの姿を見ることはありませんでした。
いくらホンモノを作れる実力のあるシェフでも、現場にいなければ作れませんよね。
職人ではなくなった人がトップのお店では、軒並み、味やサービスに表れているなと感じました。
ただこれを、お店のせいだけには出来ない、今の世の中の流れもあるだろうな、と思いました。
100点のケーキを作るために、高価な原材料を使って、相当の手間暇を掛けて、納得のいかないものは廃棄して、、、としていたら、利益はほとんど出ませんが、その100点の美味しさが通じる人はマイノリティで、60点の美味しさを求めてくる人の方が圧倒的に多い。
としたら、原材料を落として、下っ端でも簡単に沢山作れて、ちょっと時間が経ったものでも並べておいて、大量に売れば、スタッフ達にしっかりお給料も払えて、ちゃんと利益も上がります。
その60点のケーキを置いていても、シェフがメディアに露出して名を売れば、それでお客が殺到する。
もし多くの人が、1ヶ月に1度だけでも100点のホンモノを購買して、普段は買わないというスタンスなら、同じ不景気でも生き残るお店は変わってくるはずです。
でも今は、宣伝に釣られて、週1回60点のケーキを買う人の方が多いんじゃないかと思います。
食べ物のチョイスだけに限らず、世の中の考え方の主流が、どんどん表層的になって、ホンモノである必要性は薄くなっている気がしてなりません。
上記の、納得の行かなかった10軒も、その中でもがいて今のスタイルに落ち着いたのかもしれません。
ここまで書くと、その「シェフが現場に居る」という2軒が気になりますよね。
たっぷりご紹介します。
まず、1軒は「オリジンヌカカオ」さんです。
自由が丘本店で、川口行彦シェフに色々とお話を聞かせていただきました。
実は、甘さが首まで満タンな状態だったのでスルーしようと思っていたお店だったのですが、シェフがカウンター横に座っていたのと、ショーケースのケーキ達が放つオーラに、「ここは食べておかないと!」と確信して入ったんです。
この状態で食べた2種類は、まだあと2つ位食べられる、と思えるほどスルスルっと優しく身体に入っていきました。
全てのパーツがそれぞれにちゃんと独立した味がして旨いんですよね。
病に倒れてからご自身では作れないそうですが、現場にずっといるのは、未だにホンモノを作る職人だからだと感じました。
シェフご本人が作ったら、爆発的な威力のケーキになるんじゃないかと思いました。
ちなみに、前回東京を回った15年程前、シェフが銀座の和光にいらした時代にちょうど伺って、チョコのクレームブリュレを食べて感動したのが、今のさぶるーのクレームショコラの源流です。
そして、この川口シェフを「かわぐっちゃん」と呼んで、
ルレデセールにも推薦したのが、今回3度も足を運んだお店「イデミスギノ」の杉野英実シェフです。
こちらへは、閉店前に焼き菓子だけを買いに立ち寄り、翌朝サロンで食べ、その日の晩にも取り置き分を受け取りに伺い、生菓子は1日で8種類も食べてしまいました。
杉野氏が神戸北野にいらっしゃった時に、私は2年間スクールに通っていたのですが、それ以外でも頻繁に通っていた程ゾッコンだった生菓子たちは、今でも色褪せない旨いオーラを放っていました。
懐かしい面々を目の前に、思わずショーケースに向かって「ご無沙汰してます」と言ってしまいました。
ちょうど、サロンで食べるケーキを選んでいたところ、シェフが降りて来られて話をするチャンスがあったので、ここでも長々とお話を聞かせていただいたんです。
この時の話は、今後の一生に、私の職人としての生き方に関わる大事なものばかりで、もう大感動でした。
3年お店をやって来た今、これからの事を考えると少し揺れる気持ちもあったり、経営者としての資質がなくて落ち込んだり、世の中の流れに逆行しているような気がしたり、写真や宣伝が上手で話題になる雰囲気の良い美味しくないお店を恨めしく思ったり、メディアに流される大衆にやるせなくなったり、本当に複雑で答えの出ない問いをグルグル考えていたんです。
シェフとのお話は、その心のど真ん中に、ポンっとボールが入ってドストライク!という感じでした。
杉野シェフは、キラキラした目で、「僕は美味しいものを作りたいだけなんだ」と。
まさにこの一言に尽きますが、お話好きのシェフが言った印象的な内容をいくつかご紹介します。
「美味しいものを食べてもらいたいよね。美味しいものを出さないとお客さんに失礼じゃない。
職人は裏方。どろんこになって作業するのがイイじゃない。表に出る必要はないし、現場にいて一番作らないと。
僕はルレデセールとかも、めんどくさい会員とか辞めたのよ。
講義したりとか集まりとか、そんな事してたら作れないからね。
それに、新しい材料とか沢山出てるけど、僕のところには営業こないよ。
簡単で手軽に出来るものって美味しくないもの。
添加物とかいっぱいで、そんなで作ったら土に還らないじゃないねぇ。
僕はずっと同じ素材使ってるのよ。
北野に居た時は、全然儲からなくて辛かったねぇ。
(既に行列が出来る店になっていながら、完成度の高いケーキを作るあまり、廃棄も多くて、そのクオリティに見合った金額で出せず、それを見出すお客もまだまだ少ない、と当時聞いていました)
本当はお教室とか本の出版とかしたくないけどさ、お金が無いからやったんだよね。
名古屋のピエールドオルに居た時は(雇われシェフをされていた)、もっと辛かったね。
だって、作りたくないもの作らないといけないんだもん。
だからさ、今のお店に来てから、ストレスが無くなったのよ。
お菓子作るのって楽しいじゃんね。
(本当に美味しいと思う、自分が作りたいものを作って、その価値が分かる人がちゃんと集まってくれるからだそうです)」
世界のイデミスギノ、このレベルの人が、「ただただ美味しいものを作りたい」と思って、私と同じように悩みながら進んできた、というのが、とてもシンプルな答えだと思いました。
それと、シェフの話の中では業界の大物の名前がズラリと、しかもニックネームで飛び出しましたが、その人たちとも地位名声の付き合いではなく、「美味しいものを作る同志」という感覚のようでした。
だから、「ホンモノの美味しさを求めて来た」という私にも、同じように話をしてくださったんだと思います。
ちょっと面白いのが、この話を聞いていた時、横にいらっしゃったのは、ホンモノに吸い寄せられてきたスピリチュアル左官屋さん。
「シェフは美味しくなる魔法を使っている」と言っていました。リアルにそう感じるんだそうです。
「
ウレシイカベ」という珪藻土を扱うこの方にも、出会うべくして出会ったと感じました。
その場の空気感も不思議な感じでしたが、こんな人と出会うのも、何とも不思議なご縁です。
そして、その日の晩に、予約分の引き取りに再再訪した際には、なんとマダムまで一緒に降りてきてくださったんです。
スクールに通っていた当時と変わらず、マダムの柔らかいのに凛とした笑顔があまりに懐かしくて、ウルっときてしまいました。
それからもまた、マダムを交えてしばしの歓談タイムになりました。。。
世界を代表するどえらいシェフの時間をこんなに頂いてしまって恐縮でしたが、本当に楽しい時間で、「そーなの、そーなの」と頷きまくりでした。
この時のお話は、自分の中心に何を据えるべきか明確になって、今後、何かあった時に立ち戻る地点になると思います。
杉野シェフ、マダム、本当にありがとうございました。
今回の東京訪問で、生菓子の味や構造やデコレーション、ラッピングやお店の接客やサービス、店内や外装などなど、色々と学んでこようと意気込んでましたが、振り返ると、一番の収穫は、旨い菓子を作る突き通した職人の心に触れたことでした。
更に更に、突き通したオタク職人でパワーアップする事を誓い、今週の営業に向けてお菓子作りに励みます!
最後まで読んでくださってありがとうございました!
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